【2010年10月2日付『朝日新聞・朝刊』より】 先月27日に都内の営団地下鉄各線内で、キャンプ用燃料や赤熱した炭など を乗客らに投げつけ、18人を死傷させた宗教法人「駄目系楽沈教」の、自称 “食糧庁長官”加藤△容疑者(39)が2日午後、栃木県警日光署員に殺人容 疑などで逮捕された。 加藤容疑者が同県日光市の中善寺湖畔に潜伏しているのを、地元住民らが 発見、日光署に通報したもの。同容疑者は2日夜は同署に勾留され、3日午 前にも警視庁丸の内署内の捜査本部に身柄を移される。 駄目系楽沈教は1999年に「駄目系楽沈隊」という名称で設立された団体で、 当初はカヌーなどアウトドアスポーツを楽しむ個人的な同好会だったものが、 2001年ごろからメンバーの自然志向が先鋭化し、自然保護のためなら人類滅 亡を望むという、独特の教義を持つようになった。また、このころから団体 内に“財務省”“国土交通省”“食糧庁”など、実際の中央官庁の名称を持 つ組織を置きはじめ、設立当初の幹部である同容疑者らが“大臣”“長官” を自称するようになった。 2004年に同は、カヌーのパドルを本尊とする宗教法人として認めるよう、 埼玉県に申請、同県では宗教法人法の要件を満たしているとして、6月に認 可。団体名が現在のものに改められた。 加藤容疑者は古参の幹部ながら、教団内で率先して犯行実行グループを指 揮すると同時に、カヌーなどで実行犯の逃走ルートを確保する計画を立てて いたとみられている。 警視庁ではほかの犯行グループのゆくえを追うとともに、犯行の動機や経 緯について同容疑者を厳しく取り調べる方針。 |